タイトルはHELLSING6巻第4話に登場する地獄の悪鬼の数です。
すごいですよね〜もう、うじゃうじゃ〜ってカンジです。
それにしてもこの数字、単に「たくさん」とか「幾千幾万」とかならともかく、妙に細かいところが気になって、ちょっと調べてみました。
文献1(p50〜)によると中世のキリスト教世界でも、教会の礼拝の合唱隊に悪魔の群れが乱入してきたり、臨終の床にある司祭は「自分のまわりには納屋の藁の数ほどたくさんの悪魔があつまっている」といってみたり、女子大修道院長の葬式には大きな森の木々の葉の数より多い悪魔が集まったり、死の床の大修道院長のまわりには浜の真砂の数より多い悪魔があつまったり、シトー会の大修道院長のまわりには常に砂ほこりのように悪魔が群がっていたり…と言う話がいろいろと伝わっていると言うことで、当時からやはり「悪魔はとにかく、やまもりたくさんいる」というおおざっぱな認識は広く普及していたようなのですが、そんな中には44635569人とか11兆人なんていう説もあったとか。
(現在でも、世界の総人口は70億弱ですから、さすがに11兆はものすごい)
そして文献2(p144〜)によると、さらに話はこまかくなって、16世紀のヤン・ヴィールというお医者さんは7409127の悪魔を79の君主が支配していると言ってたり、フロマントー著とされる『フランス国王の官房』(1581)なる本の中では妖術師たちは悪魔の名称の目録を作成した結果、君主72、悪魔7405920なんて数字をはじきだしているそうです。
これはかなり、HELLSINGで出てた数字に近いですよね。
ところがさらに悪魔は6軍団あって、おのおの66大隊を擁し、その1大隊666小隊をもち、1小隊は6666の悪魔で編成されていて、「悪魔の総計は1758064176だ〜」なんて説もあったそうです。 そもそもこれは、「7は神の数字、6は7の欠けたもの=悪魔の数字」という発想のかけ算にすぎないことはあきらかなのですが、 ジヴリによれば当時の人口は15億人だそうですから、これはもう悪魔の天下状態です(笑)
で、ジヴリはさらに「かつて高く評価された定式」として「ピュタゴラスの偉大な数を6倍する」すなわち
1234321×6=7405926
と言う数式をあげて、ヤン・ヴィールやフロマントーの説と近く、「ともかくまともな数であって、人類をわずらわすにも十分である。」と結んでいます。
「まともなんかいっ??」という突っ込みはおいておいて、ここにきてようやく、HELLSINGの中の数字の正体がおぼろげにみえてきました。
この「定式」の出所は、さっぱり分からないのですが、6はやはり悪魔の数字ということでしょう。
いわゆる「ピタゴラス数」というのは、xの二乗+ yの二乗 = zの二乗を満たす自然数x、y、zのことらしいのですが(数学音痴?ですみません)ここでいう「ピュタゴラスの偉大な数字」というのは、この「ピタゴラス数」ではなくて、「上から読んでもしたから読んでも」な、「回文」ならぬ「回数字」。こんな数字のピラミッドをなかの一つということをさしているようなのですが…
(違ったらスミマセン)
1×1 =1
11×11 =121
111×111 =12321
1111×1111 =1234321
11111×11111 =123454321
結局は「ピュタゴラスの偉大な数」のうちのひとつにすぎず、もうこうなるとただの数遊び。
観念を観念で大真面目にこねくり回す状況は、人間のトンでも系な世界にかけるエネルギーのスゴさというか、根拠の有無とは無関係に、秩序立てた自分たちの世界観の構築にかける熱意を感じずにはいられません。
いやほんと、やはり人間はスバラシイ…笑
(更新)6巻第4話に若干追記。