いよいよ三者が戦場で相見えます。
最後の大隊は、もともと1000名ほどだったのが、リップヴァーンの部下と、ゾーリンの部下を失ったこともあり、残存総兵力572名。
十字軍は各地から集結した3172名+αだったのが、残存総兵力2875名。
そしてヘルシングは…残存総兵力たったの3名。
ところがここでインテグラがほとんど反則技のような拘束制御術式零号を開放します。(なお拘束制御術式零号については以前こちらで書いた「ヘルメスの鳥」の記事を参考にして下さい。)
さすがに「やばいっ!!」とみんなでよってたかってアーカードを攻撃。(p25なんて、もうほとんどギャグ漫画です。)
しかしその甲斐もなく、「死の河」が流れ始めます。
トバルカインやリップヴァーン、ワンワンその他もろもろ、かつてアーカードに喰われた人々が、一気に形を取り戻し、ぞるぞると激流のごとく戦場になだれ込む様子は圧巻です。
もうあまりの迫力に、十字軍もSSも「あ」とか「お」とかしか声を発しておりません(笑)
「拘束術式零号」の正体を知っていたらしい少佐と仲間達、インテグラとセラスだけがこの状況を高いところから理解しています。
(たしかに低いところにいたらのみ込まれるだけですよね)
「血とは魂の通貨 命の貨幣 命の取引の媒介物に過ぎない 血を吸う事は命の全存在を自らのものとする事だ」というインテグラの言葉は7巻第8話のシュレディンガーの言葉のほぼくりかえし。
「それにしても吸血鬼てとんでもなくヘヴィだなー」と思っていると、イェニ=チェリ軍団まで登場。
「道理で死なぬはずだ 道理で殺せぬはずだ!!奴は一体どれ程の命を持っている!?一体どれ程の人間の命を吸ったのだ!?」とアンデルセン神父もアーカードの喰いっぷりにびっくりしてます。
どうやら、吸血鬼にとって命はゲームのLIFEみたいに、(血を吸う事で)自分の中にためこむ事が出来て、殺されると1つずつ消耗して0になったら、GAME OVERというシステムのようです。
つまり「永遠の命」は存在しないけれど、真砂の数ほど命を持つ事は可能だと言う事。
そしてラスト、アーカードをさして「悪魔(ドラクル)」「悪魔(ドラキュラ)」と呼んでいますが、ここで改めて、アーカードの正体がドラキュラ伯爵だったことがあきらかにされるわけです。*
さらにHELLSINGはブラム・ストーカー版を踏まえていますから、イェニ=チェリ軍団とワラキア公国軍を出現させることで、さかのぼれば、もともとはアーカードの正体はヴラド3世(ヴラド・ツエペシュ)までさかのぼれる事をほのめかしています。
* ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』に登場するドラキュラ伯爵のモデルはワラキア公国のヴラド3世(Vlad Dracula 1431-1476)がモデルとされている事は有名です。
ちなみに「悪魔(ドラクル Dracul)」はウラド3世の父親、ヴラド2世( ?1384-1447)の添え名。ウィキによればDraculaは「Draculの息子」という意味だそうです。