(前回の続き)

少佐の命令を無視して、強攻したことについては「兵の華」として、責任を問わないものの、戦果を挙げられないことを責める少佐からの処断をつたえるシュレディンガー。このときゾーリンのことを「おまえ」よばわりするのですが、階級では中尉の方が准尉より上ですから、このへんはカワイイ顔してちょっとえげつない。

なお「物凄い面白いおもちゃ」についてはまた、後の話…


…とここまできて、このイメージを突き崩して、セラスの攻撃。ゾーリンの頭をわしづかみにして、あの「もみじおろし」です。(痛~)

「ゾリゾリゾリ」って、いくらゾーリンだからって、悪い冗談です(汗)

こうしてゾーリン、使い倒した激落ちクンのようになりはてて死亡。


セラスはふたたびベルナドットさんの亡骸を唇を噛み締めながら見つめた後、暁の死都ロンドンに向けて出撃します。

失った腕からのびる影が翼となって、空をジグザグ飛行していくのですが、なんだかアーカードと違ってきびきびしてて(笑)、見てて清々しいです。(いや〜若いっていい♪)

2巻p12で「血を飲んでしまったら何かが終わってしまう気がして」といっていたセラスでしたが、むしろこのときから「何かが始まった」という方が私の印象です。


その頃ロンドン上空、ヒンデンブルグ2号の上、少佐のもとにシュレディンガー帰還。p135の「非道い人だあなたは」以下のセリフは、シュレディンガーがリップヴァーンやゾーリンたちより、もっとずっと少佐の意志を理解していることがほのめかされています。


ちょうどそこへ、マクスウェルひきいる十字軍到着。

流れているのはカトリックの聖歌CHRISTUS VINCIT(クリストゥス・ヴィンチト)。

コチラの歌詞(ラテン語・日本語訳 1番だけ)は以下の通りです。*

(なお教皇の名前などはその時代で適宜差し替えてうたわれます。)


         「CHRISTUS VINCIT」

Christus vincit, Christus regnat, キリストは勝ち、キリストは支配し、

Christus, Christus ímperat.  キリストは、キリストは 君臨される。

Joannes Paulo secundo,   ヨハネ・パウロ2世

Summo Pontífici       最高の司教、

et universáli Papæ pax,    すなわち善境の教皇に

vita et salus perpétua.     とこしえの平和と生命と救いとあれ。


Christus vincit, Christus regnat, キリストは勝ち、キリストは支配し、

Christus, Christus ímperat.  キリストは、キリストは 君臨される。


Petro            ペトロ

Cardináli Archiepíscopo       枢機卿、大司教

et omni clero ei commísso pax,およびかれに委ねられたすべての聖職者に

vita et salus perpétua.    とこしえの平和と生命と救いとあれ。


Christus vincit, Christus regnat, キリストは勝ち、キリストは支配し、

Christus, Christus ímperat.  キリストは、キリストは 君臨される。


Témpora bona véniant,    幸福な時が来るように、

pax Christi véniat,       キリストの平和が来るように、

regnum Christi véniat.     キリストの御国が来るように。


Christus vincit, Christus regnat, キリストは勝ち、キリストは支配し、

Christus, Christus ímperat.  キリストは、キリストは 君臨される。


照明弾の光跡がまるで天使のようでとても美しいのですが、死都へ舞い降りるその「天使」の正体は…というところで、ひとまずおしまい。


ところで余談ですが、第8話のタイトル「ORGE BATTLE」は他のタイトル同様、ゲームのタイトルからとっているなら、「伝説のオウガバトル」からきていると思われるのですが、本来なら「OGRE BATTLE」が正しいスペルです。このスペルの違いが、本作品のタイトルが「HELSING」ではなく「HELLSING」であるのと同様に、意図的なものか否かはちょっと不明です。


*コチラのサイトさまを参考にさせて頂きました。

HELLSING 7巻第8話 −2

11/04/10


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