冒頭、技術屋さんぽい人が前回登場した機体の解説してくれてます。
ちなみにこのSR-71は実在の偵察機。詳しい解説はウィキでどうぞ。
外観を見て頂ければ分かりますが、本来複座(ふたりのり)のもの。これを単座(ひとりのり)に改造しているとのことで、アーカードがひとり足を組んで鎮座しておられます。
…というか操縦してないし!!(爆)操縦桿が邪魔でそもそも足なんか組めないと思うのですが…
リップヴァーンは恐怖に震えながら再び銃を構えます。
「狂気の代弁者がやってくる 屍臭を巻き上げて握りしめながら 黒い鉄馬をひきずって真ッ直ぐに」
こんなときでもリップヴァーンのセリフは舞台をみているようです。(元ネタについては不明)「鉄馬」というと、バイク乗りさんがバイク(特にハーレー)をさしてこう書きますが、一般には「鉄の甲冑を装備した騎兵」を指します。
いずれにせよこの場面ではSR-71の黒い機体をリップヴァーンが目視してこのように表現したということでしょう。
SR-71はそのまま急降下。
そもそも偵察機ですし、こんな操縦の難しい機体、しかも操縦桿もにぎらないアーカードですから着艦なんてどだい無理な話で、アドラーに激突することになります。
この急降下の間、歌劇「魔弾の射手」の歌詞が引用され、ドラマチックな演出がほどこされています。
実はこの部分は歌劇ではマックス(以下マ)とアガーテ(以下ア)とエンヒェン(以下エ)の三重唱。夜遅くに戻ったマックスが狼の谷へ行こうとするのをアガーテたちが必死に止めようとする場面です。HELLSINGでは 細かいところや、歌詞の順番が場面に合わせて変えてあります。
以下参考CDブックレットを参考にしつつ、実際の歌詞の順番に並べ替えると…(以下は自分用のメモなのでかなりダラダラした記述になります。どうぞスルーして下さいませ。)
ア:何ですって!恐ろしい!あの恐怖の谷で?
エ:あそこには魔の猟師がいて狩りをしているとか。その音を聞いた者は
全て逃げ失せるの。
マ:猟人たる人なにを恐れることがある。
ア:でも神を試すものは罪を得る!
マ:猟人たる者の心に恐れなぞあるものか。
私は夜の深遠に現われ出でるあらゆる恐怖をものともしない
樫の木が嵐の中にうねる時でも。鳥が鳴き梟が現れるときでも。
*歌劇ではマックス帽子をかぶり猟嚢と銃を手にとります。
HELLSINGではここでリップヴァーンが勇敢に発砲。
ア:私は心配です、行かないで!そんなに急がないで、心配です!
急がないで!急がないで!心配です!
マ:月影はまだ確かなもので月光はまだ薄明かりの様
やがてその光も消える
(中略)
*このあとアーカードがクロムウェル開放。一度はなんなくSR-71を撃墜したかに思えた状況が一変。リップヴァーンたちの恐怖が始まります。以降表記も恐怖に震えるリップヴァーンの心中を反映してかなり乱れます。
マ:あそこから声がする。義務が私を呼ぶのだ。
3人:さようなら。さようなら。
(中略)
*歌劇ではマックスがいよいよ出て行こうとします。
ア:私の心は震えるばかり、私の警めをわすれないで!
エ:狩人の生き様はこんなもの!昼も夜も休みなし!
ア:あぁ悲しきことよ、あなたと別れるとは!
アガーテの言葉をどうか忘れないで!!
マ:やがて日の光も弱まるだろう、運命は私を駆り立てる!
(以下略)
こうしてマックスはカスパール、そしてザミエルの待つ狼の谷へと向かうわけです。
実際に読み比べて頂ければ、HELLSINGでは歌劇の歌詞の主格を変化させつつ、順番を差し替えつつ、場面と上手くリンクさせていることがよくわかります。
ここで特に注目したいのはラスト。歌劇では「日の光も弱まるだろう」が「日の光も失うだろう」に、「私を駆り立てる」が「貴様を駆り立てた」に書き換えられている点。この部分だけは表記の乱れもないことからアーカードのパートと解釈していいのでしょう。
「いかにもというカンジ」のカッコいい仕上がりです♪