遂に夜明けの時。
「お前の負けだ」といわれても、まだ自覚のないアーカードですが、伯爵時代、ヴラド公時代と同じことが繰り返されようとします。
幼女の目に映るのは、破壊し尽くされたロンドン市街の夜明けではなく、彼の地、ルーマニア、ワラキアの荒野の夜明けです。
「私が死んだ光景は いつもこのこれだ
そして幾度も思う 日の光とはこんなにも美しい物だったとは」
…ここでついに、アーカードが「ぞるぞるぞるっ」と崩壊をはじめます。
(そういえば、アーカードが自らの過去を回想しているとき、あのヴァン・ヘルシングやミナもちらり登場するのですが、よくよくみるとインテグラの元でのアーカードの御衣装は100年前のヴァン・ヘルシングたちの御衣装といっしょなんですよね。旦那、この時の記憶をひきずっていたということでしょうか…)
アーカードの異変を見て、少佐はご満悦♪
『マクベス』の一節を口にします。
Out,Out,brief candle!
Life's but a walking shadow,…
訳としては
「消えろ、消えろ、つかの間の燈し火!
人の生涯は動きまわる影にすぎぬ。(文献1)」
「消えろ、消えろ、つかの間の燈し火!
人生は歩きまわる影法師…(文献2)」あたりが一般的でしょうか?
「短い蠟燭」というのはヒラコーオリジナルなのかは不明です。
アーカードの異変にインテグラもさすがに狼狽えています。
少佐によれば、シュレディンガーの血を喰らうことでシュレディンガーの命の性質とアーカードが同化した結果、あまりにも多くの命を内包した状態では自己認識が不可能となったために、アーカードが崩壊しているということのようです。
「消えるな」というマスターのオーダーにも関わらず、アーカードは「いやさよならだ 我が主」という言葉と、寂しそうな笑顔を最後に、魔法陣だけ残して消失。
ついに、死都と化したロンドンに日が昇ります。